2021年7月3日土曜日

先客


梅雨である。
峠を少し超えたところで瀟洒なトイレに入った。


個室のドアを開くと好みの和風である。


長雨のせいで床は濡れている。
掃除を済ませた直後のようで気持ちが良い。
ドアを閉じて、ふっと気配あり。
部屋の隅にアマガエルが身を潜めて新たな侵入者を
十分すぎる臨戦態勢で睨んでいる。


肌を晒した無防備状態で後方から攻められる恐怖に怯える。

甘んじて先客に権利を譲ることにした。


何故かこの日は一日中不愉快であった。

帰りに再挑戦もまたもやその目を剥く強いガン見に抵抗できなかった。