2014年9月17日水曜日

「痛い、痛い」の話

フィクションです。

高齢の人たちの多くは、「痛い、痛い。」と、
体の色々な部位の、痛みを訴える。

四国山地には、たいそう働き者のおばあさんがいる。
自宅の庭、及びその周辺、また自分の畑はむろんのこと、他人の畑も越権なんのその、
とにかく雑草の一本でもあろうものなら、気になってイライラして落ち着けんという。
独り暮らしで、朝は5時に起き、夕は陽が落ちるまで、ところ構わず
除草に精出し、8時には明日の除草計画を夢見ながら、床に着くとのこと。
このおばあさん、ひざ痛でずうっと長く通院治療を続けている。
一度は、医師の勧めで手術もしたが、あまり良くならなかった。
以降は、やむなく薬物治療を続けているのだが、
いつもの薬では、芳しくなく仕事に支障をきたすらしく、今回薬が変わった。

2種類の痛み止めの飲み薬が、処方された。

初めの14日は、A薬
続いて14日は、B薬
飲むのは、いずれも、1日1回朝食後

しっかりしたおばあさんだから、大丈夫とは思ったが、
念のため、A薬には朱書きで①、B薬には②と記入して、
メモ書き、「①が終わってから、②を飲み始めること」
いっしょに飲まれんぜよ!!と、さらに念押し。
2週間ほど経って、しっかり者の彼女から電話。
「薬が、足らんなった。」
確認すると、①と②は同時には、飲まなかったが、
①を飲んで、少し間をおいて②も飲んだ。
しっかり者の彼女だから、よく思い出して深く考えてみたら、
「確かに、説明では、全部で一か月分のはずじゃった。」
薬が無くなってから、気が付いた、という。
電話は、指示通りに服用しなかったことの謝罪のつもりだったとのこと。
しかし、薬はよう効いたらしい。

フィクションです。

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